NBA News Consider

考察系NBAブログ

【トピック】去就が注目されるカーメロ・アンソニー、複数のチームが興味?

リーグ有数のスコアラーとして名を馳せるカーメロ・アンソニー。
10回のオールスター選出、2013年にはシーズン得点王を獲得した天性のスコアラーながら、昨年はヒューストン・ロケッツで僅か10試合の出場に終わり、その後はどのチームにも所属していない状態だ。抜群の得点力をもつ彼の去就は、多くのNBAファンのみならず、選手・球団・メディアからも注目されている。

天性のスコアラー、カーメロ・アンソニー

カーメロの得点力は折り紙付きで、高校生の頃にはオールアメリカン1stチームに選ばれ、シラキュース大では、1年生ながら同校初のNCAAトーナメント優勝を果たした。テキサス大と対戦した準決勝では33点、名門カンザス大との決勝戦では20点、10リバウンド、7アシストと、トリプルダブル級の活躍で MVPにも選ばれている。この年のNCAAトーナメントでは、マーケット大で圧巻のトリプルダブル劇場を繰り広げたドウェイン・ウェイドとともに、大学バスケファンのみならず、一般のNBAファンにも強いインパクトを残した。

NCAAトーナメントを制したカーメロは、2003年ドラフトにアーリーエントリーし、全体3位でデンバー・ナゲッツに指名された。
2003年ドラフトは、1位のレブロン・ジェームズ、3位のカーメロ、4位のクリス・ボッシュ、5位のウェイドと、後のNBAトップスターを数多く排出した。これは、アキーム・オラジュワンやマイケル・ジョーダンが指名された1984年、アレン・アイバーソン、コービー・ブライアント、スティーブ・ナッシュらが指名された1996年と並んで、史上もっとも豊作だったドラフトと言われている。
他にもボリス・ディアウ、デビッド・ウェスト、カイル・コーバーなど、チームに欠かせない粒揃いの年だった。そんな中、全体3位という指名を受けたことからも、当時からカーメロには大きな期待と評価をされていたことが伺いしれるだろう。
(ちなみに2位指名されたダーコ・ミリチッチは、マイケル・ジョーダンが指名された1984年の2位指名サム・ブーイとともに、NBA史上最悪の2位指名の1つとされている。)

ルーキーイヤーから開花したスコアリングの才能

ナゲッツでキャリアをスタートさせたカーメロは期待にたがわぬ活躍で、レブロンとともにシーズン中のRookie of the Month(月間ルーキー賞)を独占した。さらに、ルーキーながらNBA全体で12位となる平均21点を記録し、前年17勝しかできなかったナゲッツをレギュラーシーズン43勝でプレーオフに導いた。 MVPこそはレブロンに譲ったものの、 「本当のMVPはカーメロ」という意見も少なくなかったほどだ。
その後も、カーメロは天性のスコアリングセンスで得点を積み重ね、ナゲッツはカーメロを中心にプレーオフの常連となっていく。
カーメロは、クラッチタイム(接戦時の試合終盤)での勝負強さにも定評があり、レブロンとともにリーグを代表するスタープレーヤーの1人となった。

しかし、ナゲッツはレギュラーシーズンでは強さを発揮するものの、プレーオフでは1回戦を突破できない状態が続いていた。当時リーディングスコアラーだったアレン・アイバーソンを獲得するなどしたものの、1回戦突破にはカーメロ加入してから5年の歳月が必要だった。
そのため、「カーメロは、プレーオフで勝てない」という評価も少なくなくなっていたが、ナゲッツが強豪チームとなった原動力はカーメロであり、彼の得点能力を疑うものはいなかった。

2008-09シーズンに、ナゲッツはデトロイト・ピストンズで優勝経験もあるチャンシー・ビラップスを獲得。PGとしてのゲームメイクが上手く、チームの第2オプションにもなれるビラップスの獲得により、カーメロは初のプレーオフ1回戦突破を実現した。
しかし、レギュラーシーズンでは勝ち越すがプレーオフでは勝ちきれないカーメロに対しては、この頃から「自分のスタッツを重視する自分勝手なプレーヤー」というレッテルが貼られるようになる。2006-07シーズンのニューヨーク・ニックス戦の乱闘で出場停止処分を受けたり、2007-08シーズンのプレーオフ期間中に飲酒運転で捕まるなど、チームリーダーとしての資質を問われる出来事もあった時期だ、問題もあった。
(注:こうした問題は多かれ少なかれ、キャリアが長いスター選手には少なからず起こる。カーメロはこうしたゴシップは少ない部類で、この点が過剰にフォーカスされた部分はあると思います。)

その後、カーメロはナゲッツにトレードを要求し、2011年に大型トレードで地元ニューヨーク・ニックスへ移籍することになる。

地元ニックスのエースとして

ニックスに移籍したカーメロは、6度のオールスター出場の実績を持つPFのアマレ・スタウダマイヤーとコンビを組んだ。しかし、スタウドマイヤーとの相性は悪く、マイク・ダントーニHCが得意とするラン&ガン戦術は、じっくりと1on1で攻めるハーフコートオフェンスを得意とするカーメロとは噛み合わなかった。また、カーメロのトレードに関連してニックスは多くのバックアップ選手を放出しており、選手層の面でも強豪に遅れを取っていた。これらの要因もあり、ニックスはプレーオフ1回戦で姿を消した。

翌2011-12シーズンもダントーニHCやスタウドマイヤーとの相性が改善されることはなく、カーメロの怪我もあってニックスは厳しいシーズンを過ごした。NBA史上初の台湾系アメリカ人となったジェレミー・リンの活躍で「リンサニティ」という現象を巻き起こしたが、同期のレブロン、ウェイド、ボッシュ要するマイアミ・ヒートに破れた。
ニューヨークでムーブメントを起こしたジェレミー・リンは、オフにニューヨークを去ることになる。真偽のほどは定かでないが、要因の1つとして、カーメロがスターになったリンに対して嫉妬したと噂された。

こうしたチーム状況やコート上での口論、リンに対する噂など、カーメロには「自分勝手」「自己中心的」というネガティブなイメージが付いて回るようになった。

2012-13シーズンに、ニックスは殿堂入りPGのジェイソン・キッドを獲得。
弱小球団だったニュージャージー・ネッツ(現ブルックリン・ネッツ)を初年度にファイナルに導いたキッドの影響もあってか、カーメロのシュートセレクションが良くなり、ケビン・デュラントを抑えて初の得点王を獲得した。また、MVP投票でもレブロン、デュラントに次ぐ3位につけるなど充実のシーズンを送った。プレーオフも自身2度目の1回戦突破を果たした。

2014年に5年124Mでニックス再契約したが、チームは新たにフィル・ジャクソン(マイケル・ジョーダン要するシカゴ・ブルズの元HC)と、彼のレイカーズ時代の愛弟子であるデリック・フィッシャーをHCとして招聘した。しかし、カーメロのプレーは高度なフォーメーションを求められるトライアングルオフェンスに馴染めず、チームは崩壊しかけていた。こうしたチームへの不信感やストレスもあり、カーメロは公然とチーム批判し、トレードを要求するようになった。

この頃からカーメロの怪我が増えていたが、平均27.4点、8.1リバウンド、3P成功率40.2%とオフェンス面では継続して高いスタッツを残している。

強豪へ優勝のラストピースとして移籍

2017-18シーズン前に、カーメロは強豪オクラホマシティ・サンダーにトレードで移籍する。

サンダーは超攻撃的PGでトリプルダブル製造機とも評されるエースのラッセル・ウエストブルックに加え、ペイサーズから攻守で高い能力を持つオールスター選手のポール・ジョージを獲得していた。この2人に加えてリーグ屈指のスコアリング能力を持つカーメロが加わったことで、サンダーは"BIG3"を結成することになり、王者ウォリアーズの対抗馬と期待された。しかしチームはいまいち噛み合わず、プレーオフでは1回戦で敗退したことで、チームは消化不良のシーズンを過ごした。

カーメロ個人としては通算2万5,000得点を達成したNBA史上21人の選手となったが、プレーオフ1回戦で対戦したユタ・ジャズ戦でカーメロは平均32.3分の出場で平均11.8点と低調な成績に終わった。エースであるウエストブルック、3&Dの最高峰選手の1人であるポール・ジョージに次ぐ「第3の男」がカーメロに求められていた役割だったが、結果としてカーメロはボールを持つことを要求したことも、チームが噛み合わなかった要因だ。また、以前から問題があったディフェンスへの意識の低さが、数字に残らない部分でチームの穴になっていたことは明白だった。
これらの要因からサンダー失速の原因はカーメロにあるとされ、オフにホークスにトレードされた後に解雇された。

2018-19シーズンは、打倒ウォリアーズを掲げるヒューストン・ロケッツと契約した。
ここでもカーメロに求められた役割は、絶対的エースで現役最高のスコアラーであるジェームズ・ハーデン、史上最高レベルのPGであるクリス・ポールに次ぐ、「第3の男」だ。この年の契約は1年20Mで、チームの中心選手というよりは、ラストピースとしての意味合いが強かった。

しかし、サンダーのウエストブルックと同じくボールを持つことでテンポを掴むタイプであるハーデンとの折り合いは悪く、カーメロは僅か10試合の出場に留まった後に解雇された。ロケッツでのスタッツは、平均29.4分出場で13.4点、5.4リバウンドとオフェンス面での衰えも指摘されるようになった。ロケッツのHCはニックス時代に上手くいかなかった(一説ではカーメロが交代を要求したとされる)マイク・ダントー二が務めており、表面上は確執を見せなかったが噛み合うことはなかった。

ロケッツ解雇後は、「第3の男」を探す強豪チームと契約すると思われていたが、結局どのチームと契約することもなくシーズンを終えた。

カーメロ・アンソニーという劇薬

カーメロが、天性のスコアラーであることは間違いない。

アウトサイドでは、クリックリリースで美しいフォームから3Pシュートを高確率で決め、インサイドでは大型選手にも当たり負けしないポストアップで得点を積み重ねる。加えて、ウイングから1on1を仕掛けるプレーも得意としており、オフェンス面では穴のないNBA史上最高レベルのオフェンス技術を持っている。ナゲッツやニックス時代には何度もクラッチショットを決めており、勝負強さも実証済みだ。
この点については、コービー・ブライアントも「最もディフェンスが難しい選手の1人」と評している。

カーメロの問題①:強豪チームのラストピースとしてリスクが高い

カーメロは、自身の得点力が非常に高いがゆえにシュートを乱発する傾向がある。これはキャリアをスタートさせたナゲッツ時代から言われている部分だ。リーグ最高峰のオフェンス能力があるのに、得点王を獲得するのに10年の歳月がかかったのも、この乱発癖による部分が大きい。

また、自身の得点に拘るあまり周りを活かすことができないという評価もある。
アレン・アイバーソン、アマレ・スタウドマイヤー、ラッセル・ウエストブルック、ポール・ジョージ、そして現役最高のスコアラーと言われるジェームズ・ハーデンら超一流プレイヤーと、共存できたことがないのは事実だ。
チームでもっともカーメロのオフェンス能力が高く、かつチーム戦術がプレーに合致するようであれば、カーメロのオフェンス能力は最高の武器になる。しかし、カーメロがボールを独占するプレーを良しとしない(多くの強豪はすでにチームの核となる選手がおり、彼を中心にシステムがデザインされている)場合は、カーメロのスタイルはオフェンスシステムを分断する要因となる。

これは巷で言われるように「カーメロは自分が第1オプションでないと気が済まない」という評価にもつながっている。
先に挙げたチームの核となる選手たちは、ポール・ジョージを除いて、ボールを保持してテンポを掴むタイプの選手たちだ。また、カーメロ同様に優れたオフェンス能力を持っており、彼らとカーメロがそれぞれボールを独占することで、チームのオフェンスバリエーションは単調になる。この傾向は、ハーフコートオフェンスでじっくり攻めるプレーを得意とするカーメロの場合は、よりフィーチャーされる部分だ。
この点に関して言えば現在のNBAの速攻主体のバスケットの中では、チームのワンツーパンチとして機能しにくいと言えるだろう。

カーメロの弱点②:ディフェンスに対する意識

また、以前からカーメロの大きな弱点となっているのはディフェンスだ。

カーメロはオフェンスに特化している選手だ。得点王などの輝かしいオフェンス受賞歴に対して、ディフェンスについては1度もAll Defensive Teamに選ばれていない。
これはスキルの問題ではなく、意識の問題と言われている。カーメロが全盛期の頃は、リーグ有数のスコアリング能力でディフェンスの不味さをカバーしていた。下手にディフェンスするより、オフェンスに全力を尽くしたほうがチームにとってプラスという理論だ。この傾向は、現在もっともスコアリング能力が高いとされるジェームズ・ハーデンにも見られる。
しかし、35歳になり、オフェンス面でも衰えが見られる現状で、ディフェンスで全く計算できないということは致命的だ。

一般的に言われていることではあるが、プレーオフではレギュラーシーズン以上にディフェンスが重要とされる。
プレーオフはトーナメント形式であり、1勝の重みがレギュラーシーズンとはまるで違う。過去の優勝チームを見ても、「オフェンスに秀でているが、ディフェンスは弱い」チームは近年のNBAでは優勝できていない。超攻撃型チームでも、「オフェンスに秀でているが、ディフェンスも平均以上」のチームが優勝している傾向がある。これが、カーメロがプレーオフに弱いとされる1つの要因だろう。

ニックスの非公開練習試合に参加

カーメロは、今オフにニックスの非公式練習試合に参加した。
その際に、ニックスの中核を担うと見られているジュリアス・ランドルとの1on1の動画が公開された。ディフェンスが試合ほど厳しくないとはいえ、1on1のオフェンス能力については現在でもNBAレベルと感じる。

カーメロに求められる役割

f:id:news-consider:20190907230419p:plain

先にも述べた通りカーメロは今年35歳で、同期のレブロンにも若干の衰えが出てきている。また、ウェイドは昨年で引退した。ハーデンやダントーニHCとの相性の悪さはあったが、ニックス以降のカーメロはオフェンス面でも明らかに全盛期を過ぎている。
そこでポイントとなるのは、チームの「第3の男(第3オプション)」という役割を受け入れられるかという点だ。

カーメロの得点力はルーキーイヤーからずば抜けていた。それがカーメロの存在意義であり、チームにとっての価値でもあった。しかし、ここ数年のスタッツを見るに以前ほどの支配力はない。つまり、チームの第1オプションはチームのエースに委ねるという決断が求められる。
特に優勝の可能性がある強豪チームには、すでにチームの核になる選手が1人か2人在籍している。スポットライトを彼らに譲ることができるかが、今後のカーメロの勝ちになるのではないだろうか。
この点については、オリンピックのチームUSAでその役割を果たすことができていたことを考えると、これは彼の意識の問題だろう。

また、NBAのゲームスピードは高速化しており、ボールを保持する時間が長く、ハーフコートオフェンスを得意とするカーメロには逆風だ。
しかし、カーメロがベンチスタートを受け入れ流ことができれば話は変わる。セカンドチームであれば、他チームは堅実なバックアッププレーヤーを揃えていることが多く、先発メンバーとしても起用できるカーメロを活かす余地は大きくなる。

カーメロが「チームの第1オプションを譲る(=自分がエースにならない)」「控えも受け入れる覚悟を持つ」という2つを受け入れたとしたら、ベテランの域に達しているカーメロはチームに不可欠な選手になる。
逆にいえば、カーメロが依然として「自分がチームの1stオプションであるべき」と考えているようであれば、契約先を見つけることは難しいのではないだろうか。強豪と契約したとしても、プレーオフを勝ち抜くビジョンは見えない。またカーメロが再建中のチームと契約するとは思えないが、再建中の若手チームの教育係として考えた場合にも、カーメロを1stオプションに据えることは若手エースを育てることと合致しない。
全盛期を過ぎ、不満分子になることも危惧される35歳のオフェンス特化型のベテランを中心に、チーム構築をしようというチームが現れるとは考えにくい。

カーメロを獲得することで単純なオフェンス力は向上するだろう。しかし、チーム全体のオフェンス力を上げるには、彼のプレースタイルとチームの方向性や戦術が合致しているという条件がある。
ロケッツ移籍時にカーメロは「求められる役割をする」とインタビューで答えた。しかし、彼が口にした"役割"は、本当にチームから求められていた役割だったのだろうか。ここにミスマッチがあるように感じる。

カーメロはどのチームにマッチするのか?

カーメロ・アンソニーの去就はNBA界隈の大きな関心事であり、現在も複数の球団と交渉中であることが報じられている。
最近では今オフに大規模補強を実施したブルックリン・ネッツと、ファイナル出場を見据えるフィラデルフィア・セブンティシクサーズがカーメロに興味を持っていると報じられた。

今オフにブルックリン・ネッツに移籍したケビン・デュラントとカイリー・アービングの2人のスターはカーメロと親しく、ネッツの経営陣にカーメロ獲得を打診したとされる。カイリー、デュラント、カーメロの"BIG3"が実現すれば、一昨年在籍していたサンダーの"BIG3"よりも単純なオフェンス力では上だ。しかも、デュラントはアキレス腱断裂で2019-20シーズン全休が見込まれており、カーメロ獲得はデュラント不在時の大幅なスコアリング改善につながるだろう。
アービングはこれまでカーメロと相性が悪かったボールを持つタイプのPGだが、クリーブランドでレブロンのNo.2としてプレーしていた経験からカーメロとの調和はある程度図れると思われる。

しかし、アービングは昨年ボストン・セルティクスでジェイソン・テイタムをはじめとする若手を批判し、チームリーダーの資質に疑問を持たれている。ネッツは昨年、周囲の予想に反して若手主体のチームでプレーオフ出場を果たした。この構図は、テイタムを中心に勝ち上がった一昨年のセルティクスと似ており、アービングが再び若手を批判する可能性も低くない。カーメロもチームリーダーとしての資ふた質に秀でているとは言えず、最悪のケースとして昨年躍進したチームが空中分解する危険性さえある。

成長著しいレバートと延長契約を結んだことからも、チームとしてはレバートをチームの第2・第3オプションに成長させたいと思っているはずだ。このことを考えても、個人的にはカーメロを加えることはかなりのリスクを伴うのではないかと思う。

次に噂になっているのは、フィラデルフィア・セブンティシクサーズだ。
シクサーズは2017-18新人王のベン・シモンズ、次世代のNo.1センター候補のジョエル・エンビードを中心とした優勝候補の一角だ。今オフにはトバイアス・ハリスと再契約し、堅実なインサイドとしてアル・ホーフォードを獲得したことでディフェンス面は昨年以上だろう。

チームの懸念点は、ヒートに移籍したジミー・バトラーが担っていたオフェンス力と、ベンチメンバーの層の薄さだ。バトラーの後釜として成長中のジョシュ・リチャードソンを獲得したが、そこにカーメロのスコアリング能力を加えれば攻撃面での向上も図れる。しかし、サイズ的にはカーメロが先発で起用される見込みは薄い。カーメロには、チームの「第3・第4の男」になることを求められる。

友人のレブロン・ジェームズ率いるロサンゼルス・レイカーズ入りも噂されるが、ここでもレブロン、アンソニー・デイビス、カイル・クーズマに次ぐ第4の男であることが求められるだろう(レブロンがいることで、幾分緩和されそうではあるが)。また、レイカーズは問題児の烙印を押されたドワイト・ハワードを無保証の1年契約で獲得したことから、チーム文化の面からレイカーズの首脳陣がカーメロ獲得に二の足を踏む可能性は高い。

最後に、地元でもある古巣ニックスへの復帰も考えられる。
非公式とはいえ練習試合に参加する関係性は維持しており、カーメロの地元ということも後押しするだろう。また、彼の全盛期はニックスに所属していた時期で、ニューヨークの熱狂的なファンも彼のラストランとして受け入れるのではないかと思う。

ニックスは今季ベテランPFのタージ・ギブソンや、攻守で役割が求められるジュリアス・ランドルを獲得したが、リーグ下位の成績になることが予想されている。また、ニックスは今オフにはケビン・デュラント、カイリー・アービングの獲得にも失敗し、ドラフトでは注目のザイオン・ウィリアムズの獲得を逃した。カーメロを獲得することで一気にプレーオフを見据えることができると夢想するのは、さすがに無理があるだろう。

しかしニックスには、ザイオンを抑えて1位指名されるとも噂されたRJ・バレットをドラフト指名し、デニス・スミスJr、ケビン・ノックス、ミッチェル・ロビンソンと、将来性の高い若手が多数在籍している。20年に渡ってニックスは迷走を続けているが、スコット・ペリーがGMに就任して以来は比較的堅実な動きをしている。こうした要素を考えても、ニックスは若手を主軸にチームの再建を目指していくべきだと思う。
この若いチームには、エゴ丸出しのスコアラーは必要ない。必要なのは、若手を導くことができるアンセルフィッシュなベテラン選手だ。これは、カーメロが意識を変えることで実現できる未来だ。

第3・第4の男として影のエースになることは、どのチームでもカーメロに求められる要素だ。カーメロが「チームの第1オプションを譲る」「控えも受け入れる」という2つの意識変革を行うことができれば、彼の価値は大きく上がるだろう。
この意識改革ができることが前提だが、個人的にはチームリーダーとして親友レブロンがいるレイカーズは、カーメロにとって居心地がよいチームなのではないかと思う。

全盛期を過ぎたとはいえ、チーム戦術にはまった時のカーメロのスコアリング能力は未だに脅威だ。しかし、今年35歳のベテランスコアラーに残された選択肢は思いのほか少なく、次がラストチャンスになる可能性もある。
カーメロが自分のスタイルと意識を変革することができれば、優勝チームのラストピースとなる可能性も決して低くないだろう。


Carmelo Anthony BEST Offense Highlights from 2018-19 NBA Season! What's Next?