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【トピック】ドウェイン・ケーシーHC、ローズの復活に期待

ブレイク・グリフィン、アンドレ・ドラモンドのリーグを代表するツインタワーを擁しているデトロイト・ピストンズは我慢の時間を過ごしている。昨年はプレーオフにイースタン8位で出場したものの、1勝も上げることなく敗退した。
ピストンズを率いる名将ドウェイン・ケーシーHCは、今オフに獲得したデリック・ローズの復活に期待している。

デリック・ローズが過ごした天国と地獄

デリック・ローズは2008年にドラフト1位で指名されたPG。
抜群のスピードと爆発力で、1年目から地元シカゴ・ブルズのエースとして活躍し、平均16.8点、6.3アシストの成績を残してチームをプレーオフに導いたことも評価されて新人王を獲得した。

3年目にはNBA史上7人目となるシーズン平均25点、4.0リバウンド、7.5アシスト以上を記録し、2011年時点で史上最年少でのMVPを獲得した。ローズの活躍は目覚ましく、NBAの契約形態に「デリック・ローズ・ルール」と呼ばれるものが設定されるほどのインパクトを残した。
ちなみに、PGとしてはNBA史上初のシーズン通算2,000得点、300リバウンド、600アシストを記録した5人目の選手でもある。

NBA入りしてからわずか3年の選手の記録ではなく、NBAを担うスーパースターと目されていたローズだが、翌2011-12シーズンのプレーオフ1回戦で悪夢が襲う。試合中に左膝前十字靭帯断裂の大怪我を負い、翌2012-13シーズンを全休することとなる。
復帰をかけた2013-14シーズンだったが、さらにローズを悪夢が襲うことになる。今度はシーズン序盤に右膝半月板断裂の大怪我を負ったのだ。
さらに、翌2014-15シーズンには右膝半月板部分断裂をしてしまったのだ。
その後、ニューヨーク・ニックスに移籍するも全盛期のキレはなく、チームを牽引する力は残っていなかった。さらに、2016-17年シーズン終盤に左膝半月板断裂する重傷を置い、またしても怪我に泣かされることとなる。

若い頃のローズはリーグ随一のドライブスピードを誇り、抜き去る時の1歩目の速度が段違いに速かった。さらに、フィニッシュ時に膝のバネを最大限に使いディフェンスを翻弄するスタイルで爆発力をえていた。そうしたプレーの影響もあったのかもしれないが、ローズを襲った4度の膝の大怪我は、彼からキレと爆発力を奪ってしまった。
ローズが経験した怪我はバスケットボール界では選手生命を脅かすことでも悪名高い。
マジック・ジョンソンの再来といわれたアンファニー・ハーダウェイ、ローズと同じく若くして殿堂入り間違いなしと目されていた万能戦士グラント・ヒル、彼らから輝かしいキャリアを奪ったのもこの怪我だ。他にも多くの選手が同様の怪我をしているが、怪我する前の状態まで回復した選手は数えるほどだ。それほど困難な怪我なのだ。
ローズはその怪我を4度も経験している。

ニックス以後は、クリーブランド・キャバリアーズを経て、2018-19シーズンにミネソタ・ティンバーウルブズと契約した。キャバリアーズでのローズのプレーは全盛期とはまるで違うスタイルだった。ミドルシュートや3Pシュートを多用し、ドライブからのフィニッシュも全盛期の「アグレッシブ」という感じではなく、スピードを落として慎重にプレーしているように見えた。事実、スタッツやチームへの貢献度も限定的なものだった。

しかし、ローズはウルブズで見事な復活を遂げる。
10月31日のユタ・ジャズ戦では、ブルブ時代も含めてキャリアハイとなる50点を奪取。さらには11月7日のロサンゼルス・レイカーズ戦ではキャリアハイとなる7本の3Pシュートを決めて見せた。このローズの復活劇は、多くのファン、そして多くのNBA選手を驚かせた。
全盛期のキレはない。しかし、あえてテンポを2つ遅らせたフィニッシュ、ドライブする際の1歩目の速さと身体の使い方、中長距離のシュート力と玄人好みの老獪なプレーヤーに変貌していたのだ。


Derrick Rose CAREER-HiGH 50 Pts! 2018.10.31 vs Jazz - ViNTAGE D-ROSE! | FreeDawkins

ローズの復活はゲームの世界や机上の論、果てはTVの前でNBAを観戦している我々ファンとは別次元の現実だ。試合後に感情を爆発させて涙したローズの表情がすべてを語っていた。
若くしてMVPを獲得し、シカゴ、ニューヨークと大都市に所属し、優勝候補の一角だったキャバリアーズで結果が残せなかったローズは、マスコミや心ないファンの批判の的となった。「ローズは終わった」と多くのファンが思っただろう(私もこれほどの復活は無理だと思っていた)。
しかし、ローズは自身の慣れ親しんだプレースタイルを変革し、血がにじむリハビリと努力を続けてミネソタの地で復活の狼煙をあげた。MVPを獲得し将来を嘱望された時のローズではない。しかし、度重なる大怪我から帰ってきたベテランのローズが帰ってきたのだ。

名門復活をかけたドウェイン・ケーシーHCの期待

ピストンズのドウェイン・ケーシーHCは、昨年からピストンズを率いている。ピストンズに招聘される前は、昨年優勝を果たしたトロント・ラプターズを強豪に育てたことから、有数のチームビルディングの手腕と評価されている。日本でコーチをしていた時期もあり、日本とも縁のある人物だ。キャリア勝率は54.9%を誇っている。

ピストンズにはブレイク・グリフィン、アンドレ・ドラモンドの2人のオールスタープレーヤーがいる。グリフィンはアグレッシブなダンクが印象的だが、近年はアウトサイドのシュート力も身につけている。ドラモンドは過去4年間で3度のリバウンド王に輝くセンターで、この2人が布陣するインサイドはNBAでも有数のツインタワーだ。
バックコートには、スコアリングに長けたレジー・ジャクソンがいる。この3人は「BIG3」と呼ばれているが、優勝争いをするにはもう1歩足りないという現状だ。3人のプレーも断片的になりがちで、チームとしての噛み合わせは決して良いとは言えない。

ピストンズは今オフにローズに白羽の矢を立てた。
同ポジションにレジー・ジャクソンがいるため、セカンドユニットでの起用になると思われるが、ケーシーHCはローズに大きな期待を寄せている(ボールを独占する癖のあるジャクソンの放出を見据えている可能性も低くないだろう)。

ピストンズのチーム公式サイトで、ケーシーHCは「彼は昨年、まだ終わっていないことを証明した」「彼のプロフェッショナルな精神力、常にハードにプレーするスタイルがチームの色を決める。」と述べている。
ケーシーHCはローズに、リーグ25位のオフェンスの向上というバスケットボール的なプレーだけでなく、チームをまとめ上げる精神的支柱としての役割を期待しているのではないだろうか。
選手個人としても、チームとしても停滞感が漂うピストンズのチームカラーを変える人材として、地獄から復活したローズほど適任者はいないだろう。

エリート選手と目されていたローズが、伝統的なピストンズの泥臭いチームカラーの復活を任せられるというのは、何か運命的なものを感じざるえない。
第二のバスケ人生をスタートさせたDローズが、ピストンズでどんなプレーを披露するのか。ゲームはまだ終わっていない。


Derrick Rose's Best Plays From the 2018-19 NBA Regular Season