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【2019-20チームレビュー】デンバー・ナゲッツ

2018-19シーズン成績:54勝28敗(ウエスタン2位/攻撃:20位 守備:6位/得失点差:+4.0)
2018-19プレーオフ成績:カンファレンス・セミファイナル敗退

加入

ジェレミー・グラント(サンダー)
PJ・ドジャー(セルティクス)
ブラッコ・チャンチャー(2017年ドラフト49位)
ボル・ボル(ドラフト44位、2way)
タイラー・クック(ドラフト外、2way)

退団

アイザイア・トーマス
トレイ・ライルズ
タイラー・ライド

予想ロスター

  PG SG SF PF C
1st(先発) ジャマール・
マレー
ギャリー・
ハリス
ウィル・
バートン
ポール・
ミルサップ
ニコラ・
ヨキッチ
2nd モンテ・
モリス
マリーク・
ビーズリー
トリー・
クレッグ
ジェレミー・
グラント
メイソン・
プライムリー
3rd   PJ・
ドジャー
マイケル・
ポーターJr
ファン・
エルナンゴメス
ボル・
ボル
4th     ブラッコ・
チャンチャー
   
HC マイク・マローン(5年目)

2019-20シーズンの展望

一昨年プレーオフ進出争いをしたデンバー・ナゲッツは昨年、コアメンバーを変えずに大きく飛躍した。
強豪ひしめくウエスタンでレギュラーシーズン2位の成績を残したが、プレーオフでは経験不足に苦しみ、ファイナルまであと一歩に迫ったポートランド・トレイルブレイザーズに惜しくも敗れた。

ナゲッツは今オフにベテランのポール・ミルサップにチームオプションを行使し、スコアリングPGとして開花したジャマール・マレーと5年MAX契約を結んだ。ドラフト外での動きは、昨年オクラホマシティ・サンダーで先発に定着したジェレミー・グラントの獲得と、ボストン・セルティクスから若手スイングマンのPJ・ドジャーを獲得するに留まった。
多くの大物FAの動向が話題となった今オフを堅実なピンポイント補強のみで終えたのは、現コアメンバーに対する自信の表れだろう。

センター離れしたコートビジョンとパスセンスを持つエースのニコラ・ヨキッチ、個人技でスコアリングを重ねる攻撃的PGのマレーとのワンツーパンチは従来のバスケットボールとは一線を画す。特にインサイドで起点となるヨキッチのパス能力は、周りの選手に的確にボール配給する往年のクリス・ウェバーを彷彿とさせる。昨年のスタッツが平均20.1点、10.8リバウンド、7.3アシストということからも、彼の多才ぶりが見て取れるだろう。インサイド/アウトサイド問わずに自分で攻めることもでき、彼を封じるには高度なディフェンスシステムが要求される。

マレーは3Pシュートとドライブの双方で相手に揺さぶりをかけるスコアリングに特化したPGだ。
平均4.8アシストとPGとしては低いアシスト数だが、これは本来PGに求められるゲーム構築をヨキッチが行っているためだ。ヨキッチがボールを適切に配給できるため、アウトサイドで揺さぶりをかけスペースができればカットイン、オフェンスシステムでフリーになれば3Pとマレーの得点力を活かすことができている。
控えPGになるだろうモンテ・モリスや、SGのギャリー・ハリスも高いシュート力を持っており、ヨキッチとの相性が良い。特にハリスは、マレーと似たタイプであり、マレーとハリスがディフェンスを翻弄すると同時に司令塔のヨキッチが適切なプレーを選択するというスタイルだ。
これはヨキッチの能力とアンセルフィッシュな性格がチームの基礎ということの証左だろう。

フロントコートで特筆すべきはPFだ。リーグ14年目のベテランであるミルサップとのオプションを行使し、サンダーからグラントを獲得したことで安定感を増した。
ミルサップは攻守で堅実なプレーを行うと同時に、昨季平均12.6点、7.2リバウンドと衰えを感じさせない。ヨキッチの成長、フォロー、数字に残らな部分での働きを考えると、ミルサップはナゲッツ躍進の影の立役者といっていいだろう。
また、グラントは昨年はサンダーで77試合に先発出場し、平均13.6点、5.2リバウンド、1.3ブロックと攻守で貢献したことでプチブレイクを果たしている。FG成功率49.7%、3P成功率39.2%と攻撃面でも期待できる。また、数字に表れにくい部分ではあるが、相手の速攻でも全速力で自ゴールまで駆け戻ったり、ボールにダイブするなどのハッスルプレーもチームを鼓舞する重要な視点だ。
機動力のあるPF2人とヨキッチの双方を確実に守るのは至難の技だろう。これにマレー、ハリスのバックコート陣の得点力が組み合わさることがナゲッツの強みといって良い。

SFについては得点能力の高いウィル・バートンが先発を務めるだろう。昨年よりは2017-18シーズンよりもスタッツは全体的に下降している。これは怪我の影響もあるが、マレーが開花したことによる部分も少なからずあるだろう。
控えとしての起用が予想されるトーリー・クレッグは守備力が高く、状況に応じてバートンと使い分けられるということは戦術上のアドバンテージになる。
また、昨年怪我で全休した2018年ドラフト14位のマイケル・ポーターJrがポテンシャルを開花させることができれば、SFのバランスはより良くなるだろう。ナゲッツはヨキッチ中心のチームであり、2ndオプション(場合によっては1stオプション)はマレーだ。ポーターがマレーに次ぐ存在になれればすべてのポジションで穴がなくなる。しかし、ポーターは左膝の怪我でサマーリーグを休んだことからも、球団は焦ってポーターを起用しないと思われる。

また、ドラフト44位で指名したCのボル・ボルの潜在能力は折り紙付きだ。
怪我の心配で44位まで指名が下がったものの、今年のルーキーサーベイ(ルーキーを対象に行われるアンケート)でも「もっとも拾い物のルーキー」1位に選出されるなど、その実力とポテンシャルは認められている。
センターに関してはヨキッチと控えのプラムリーが健在であれば問題ないだろう。

昨年躍進したナゲッツは、今季大きく期待されているチームの1つだ。
ヨキッチ、マレー、ミルサップ、ハリスといったコアメンバーを維持しつつ、攻守で期待できるグラントを獲得し、2018年ドラフトのポーターや2019年ドラフトの掘り出し物と言われるボルなど、ポテンシャルの高い若手も揃っている。

ヨキッチとマレーの両軸に大きな怪我がなければ、ファイナル進出も現実的だろう。
ケビン・デュラントが先日「カンファレンス・ファイナルやNBAファイナルになるにつれて個人技が重要になる」と発言し物議を醸したが、これは事実を捉えている部分でもある。優勝を目指した場合、アンセルフィッシュなヨキッチと、セルフィッシュなマレーという2大エースがもう一皮むける必要があるかもしれない。

また、ヨキッチが怪我で離脱した場合の予想は非常に難しい。ヨキッチと違いマレーは昨年も自己中心的なプレーで批判を浴びた。チーム全体のシステムがヨキッチを前提に構築されているため、場合によっては空中分解もあり得る。
ファイナルを伺う戦力を整えたナゲッツの最大の敵は、怪我とケミストリーになるだろう。