2018-19シーズン成績 :57勝25敗(ウエスタン1位/攻撃:2位 守備:16位/得失点差:+6.5)
2018-19プレーオフ成績:NBAファイナル敗退
加入
ディアンジェロ・ラッセル(ネッツ)
ウィリー・コーリー・スタイン(キングス)
アレック・バークス(キングス)
グレン・ロビンソン三世(ピストンズ)
オマリ・スペルマン(ホークス)
マーキーズ・クリス(ブルズ)
ジョーダン・プール(ドラフト28位)
アレン・スマイラギッチ(ドラフト39位)
エリック・パスカル(ドラフト41位)
アンドリュー・ハリソン(FA)
ファン・タスカノ・アンダーソン(FA)
デビン・マーブル(FA)
カイ・ボウマン(FA、2Way)
退団
ケビン・デュラント
アンドレ・イグダーラ
デマーカス・カズンズ
アンドリュー・ボーガット
ケビン・クック
デイミアン・ジョーンズ
ジョーダン・ベル
マーカス・デリックソン
ジョナス・ジェレブコ
ショーン・リビングストン
予想ロスター
PG | SG | SF | PF | C | |
1st(先発) | ステフィン・ カリー |
ディアンジェロ・ ラッセル |
アルフォンゾ・ マッキニー |
ドレイモンド・ グリーン |
ケボン・ ルーニー |
2nd | アレック・ バークス |
グレン・ ロビンソン三世 |
オマリ・ スペルマン |
ウィリー・ コーリー・スタイン |
|
3rd | ジェイコブ・ エバンス |
エリック・ パスカル |
アレン・ スマイラギッチ |
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4th | ジョーダン・ プール |
マーキーズ・ クリス |
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5th | クレイ・ トンプソン* |
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HC | スティーブ・カー(6年目) |
2019-20シーズンの展望
昨年のシーズン開幕前は優勝候補筆頭と目されいたゴールデンステイト・ウォリアーズだったが、5年に渡り王朝を築いたチームは満身創痍だった。苦しみながらもプレーオフを勝ち抜き、NBAファイナルに辿り着いたものの、チームのコアであるクレイ・トンプソン、ケビン・デュラント、デマーカス・カズンズを怪我で欠いたチームは、トロント・ラプターズに敗れた。怪我で欠場を余儀なくされた3人のスターだけではない。チームの顔であるステフィン・カリー、チーム1のディフェンダーであり汚れ仕事も惜しまないドレイモンド・グリーンも小さな怪我を抱え、まさにチームは満身創痍だった。
5年連続でファイナルに進出し、うち3回の優勝を果たし、 2015-16シーズンにはリーグ歴代最高の73勝を挙げたチームは、明らかに転換期に差し掛かっていた。
今オフに2014年のシーズンMVPで、4度の得点王に輝いたデュラントがブルックリン・ネッツと契約。優勝のためにウォリアーズに加入したカズンズも、ロサンゼルス・レイカーズと契約を結んだ。さらには、黄金期のオリジナルメンバーであり、ファイナルMVPを獲得したこともあるアンドレ・イグダーラをメンフィス・グリズリーズに放出した。
さらに、ベンチメンバーとして安定感のある仕事を常に続けていたショーン・リビングストンは引退を決意した。
カリーとトンプソンの生え抜きの2枚看板は健在ではあるが、プチ再建期に入ったといって良いだろう。
デュラントの代わりにネッツから獲得したのは、昨年ブレイクしたディアンジェロ・ラッセルだ。
ラッセルは2015年にドラフト2位ピックされたことからも分かるように、リーグ入り当初から期待値は高かった。しかし、レイカーズでは試合内外で未熟な部分がフォーカスされていた逸材だ。1年目は怪我で不完全燃焼なシーズンになったが、昨年は平均21.1点、3.9リバウンド、7.0アシストを残し、初のオールスターにも選出された。勝負強さも兼ね備えており、若手主体のネッツに移籍したことで才能が一気に開花した形だ。
ウォリアーズはSGのトンプソンが左膝前十字靭帯の断裂で長期離脱中のため、トンプソンの復帰までは先発SGをラッセルが務めるだろう。チームにフィットするようであればトンプソン復帰後も、ラッセルをSGにしてトンプソンを層が薄いSFで起用するパターンも考えられる。カリー、ラッセル、トンプソンの新「スプラッシュ・ブラザーズ」が機能すれば、バックコートの得点力はそれだけで脅威だ。
SGは得点力に優れたアレック・バークス、バランス型のジェイコブ・エバンス、ルーキーのジョーダン・プールと揃っているが、安定感という面では不安が残る。攻守でバランスが取れているエバンスか、ミシガン大でインサイド/アウトサイドの双方で得点が獲れることを証明したプールが即戦力として機能すれば、トンプソン復帰後もローテーションが楽になる。
また、リビングストンが抜けたことで、カリーの控えがいないPGにラッセルを入れるという状況にも対応しやすくなる。シュート力、パスセンスを考えるとラッセルのベストポジションはPGであり、エバンスらがディフェンス面で不安があるラッセルをカバーできれば、チームの自由度は高まる。
カリー、ラッセル、トンプソンが注目されることが多いが、現状のメンバーでシーズンを戦うのであれば、エバンス、プールの成長はチームにとって大きな鍵となるだろう。
一方でフロントコートに目を向けると、ドレイモンド・グリーンが健在のPF以外はかなり穴が大きい。
デュラントとイグダーラが抜け、トンプソンも復帰まで時間を要するとなると、グレン・ロビンソン三世とアルフォンゾ・マッキニーしかいないSFは厳しい状況だ。3年目のマッキニーはマッキニーは3&Dとして期待できるが、先発を安心して任せられるレベルにはない。また、ロビンソンもセンスの高さを感じさせるプレーを随所で披露していたが、前任者と比べると大きくスケールダウンしたといえる。
特に、王朝を影から支えたイグダーラの安定感と守備力はウォリアーズの強みの1つだった。クリッパーズのカワイ・レナードとポール・ジョージ、レイカーズのレブロン・ジェームズとカイル・クーズマ、バックスのヤニス・アデトクンボと、ライバルチームにはSFでプレーできる選手のレベルが高い。このことを考えても大きな穴になるだろう。
Cにはサクラメント・キングスから機動力とリバウンドが期待できるウィリー・コーリー・スタインを獲得。昨年は平均11.9点、8.4リバウンドと、同水準の数字をウォリアーズでも残すことができれば、チームのXファクターになり得る。
また、バスケットIQが高く、泥臭いプレーも厭わないケボン・ルーニーは守備面や数字に残らない部分での活躍が期待できる。これまで、アンドリュー・ボーガットやザザ・パチューリア、アンドレ・イグダーラが担ってきた仕事をこなすことができれば、面白い存在になるだろう。
PFは、グリーンが健在であればある程度の計算はできる。
しかし、デュラントやイグダーラがPFに入る場面も多かったことを考えると、グリーンに掛かる負担は昨シーズンまでより大きなものになるだろう。既に満身創痍のグリーンが離脱した場合、2年目のオマリ・スペルマンと、ルーキーのエリック・パスカルという控えでは心許ない。現時点で計算できるのはグリーンのみだが、スペルマンがフィジカルなプレーが売りのストレッチ4として飛躍できるかがポイントになるだろう。
今オフに大きな変革を迎えたウォリアーズは、控えめに見てもこれまでの強さはないだろう。
カリー、ラッセル、トンプソン、グリーンが健在であればそれなりの成績を収めるだろうが、控えが大きくスケールダウンしており、ロスターの自由度は格段に下がっている。
昨年はオフェンスでリーグ2位、ディフェンスで16位に終わったが、どちらもキープレーヤーが移籍したことで今季は両方でレーティングを下げる可能性が高い。さらに、トンプソンの離脱も長期化しそうなため、かなり苦しいシーズンになることが予想される。
万が一、31歳と全盛期を過ぎつつあるカリーと、29歳のグリーンが欠場するようなことがあれば、プレーオフを逃す可能性もゼロではない。
ラッセルがチームにフィットし、控えの若手が成長することがウォリアーズの鍵になる。
優勝候補であるクリッパーズ、レイカーズ、ロケッツ、シクサーズなどと比べると、スケールの小ささは否めない。また。ロスターのポジション別バランスも褒められる状況にはない。
ウォリアーズの時代が終わるのか、それとも予想に反してチーム一団となって勝ち進むのか。今季はウォリアーズの今後を占う上で、重要なシーズンになることは間違いない。