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【2019-20チームレビュー】ロサンゼルス・クリッパーズ

2018-19シーズン成績 :48勝34敗(ウエスタン7位)
2018-19プレーオフ成績:1回戦敗退

加入

カワイ・レナード(ラプターズ)
ポール・ジョージ(サンダー)
パトリック・パターソン(サンダー)
モーリス・ハークレス(ブレイザーズ)
フィオンドゥ・カベンガリ(ドラフト27位)
テレンス・マン(ドラフト48位)
アミール・コフィー(ドラフト外、2way)
デリック・ウォルトンJr(FA)

退団

ウィルソン・チャンドラー
ギャレット・テンプル
ダニーロ・ガリナリ
シャイ・ギルジャス・アレキサンダー
シンダリアス・ソーンウェル
タイロン・ウォーレス
エンジェル・デルガド

予想ロスター

  PG SG SF PF C
1st(先発) パトリック・
ベバリー
ポール・
ジョージ
カワイ・
レナード
モントレズ・
ハレル
イビツァ・
ズバッツ
2nd ルー・
ウィリアムズ
ランドリー・
シャメット
モーリス・
ハークレス
パトリック・
パターソン
フィオンドゥ・
カベンガリ
3rd デリック・
ウォルトンJr
ロドニー・
マグルーダー
テレンス・
マン
ジャマイカル・
グリーン
 
4th   ジェローム・
ロビンソン
     
HC ドック・リバース(7年目)

2019-20シーズンの展望

スター不在ながら、予想に反して快進撃を見せてプレーオフに進出した昨年。ロサンゼルス・クリッパーズは6thマンながらチームのエースであるルー・ウィリアムズを中心にチームバスケットを繰り広げた。プレーオフでもゴールデンステイト・ウォリアーズ相手に2勝するなど可能性をみせたが、プレーオフを勝ち抜く上では限界もあった。
そこで今オフ、クリッパーズは大物FAの獲得に乗り出した。

白羽の矢が立ったのは、昨年トロント・ラプターズを球団初のリーグ優勝に導いたカワイ・レナードだった。レナードはサンアントニオ・スパーズを離れて以来、今オフに地元ロサンゼルスへの帰還を希望していたが、ほとんどの人が伝統あるロサンゼルス・レイカーズへの移籍を予想していただろう。しかし、レナードを獲得したのはクリッパーズだった。
レブロン・ジェームズ、アンソニー・デイビス擁するレイカーズに移籍したならば、レイカーズは圧倒的優勝候補になっていたはずだが、まさか同じロサンゼルスに拠点を持つクリッパーズがレナードを獲得するとは夢にも思わなかっただろう。

さらに、オクラホマシティ・サンダーでMVP級の活躍をしたポール・ジョージを獲得した。
ジョージも昨オフ故郷ロサンゼルスでのプレーを切望していたという経緯もあるが、昨年サンダーで勝ちきれなかったこともあり、レナードがジョージと直接話した結果、長年リーグの強豪チームだったサンダーは再建に舵を切ることとなった。

レナードとジョージは、現NBA屈指のウイングプレーヤーだ。
2人とも得点力もさることながら、ディフェンス面の評価も非常に高く、特にレナードはリーグ屈指のペリメーター・ディフェンダーで、レブロンや昨年MVPのヤニス・アデトクンボなど、圧倒的な突破力を持つスター選手でもある程度は止めることができる。
また、ジョージにしてもインディアナ・ペイサーズの頃からペリメーター・ディフェンスが評価されていた選手だ。

さらにオフェンス面でも、この2人にとっては1試合30点獲ることは簡単だ。
2人ともインサイドでもアウトサイドでも得点することができるし、2人とも球離れが良いタイプであるため、ボールを独占することなくプレーすることは難しくない。しかも、どちらかというとジョージの方がよりアウトサイドでのプレーを好み、レナードはペリメーターからミドルを得意とする。これは彼らに求められてきたプレーの結果ではあるが、2人のプレーエリアが微妙にズレているのは、クリッパーズにとっては好都合だ。

レナードもジョージも本来のポジションはどちらもSFだが、プレースタイルや適応力の面を加味するとジョージがSGで起用されると思われる。ジョージがSG、レナードがSFに入ることで鉄壁のディフェンスと多彩なオフェンスプランが取れる。ボストン・セルティクスで優勝したドック・リバースHCの手腕も含めて、圧倒的な安定感を手に入れたといえる。

PGにはディフェンス職人のパトリック・ベバリーが入る。
レナード、ジョージ、ベバリーのバックコートはリーグでもっとも攻略が難しいディフェンシブ・ラインナップだろう。計算通りに行けば、アグレッシブ・ディフェンスからスティールを量産する場面が増えるだろう。
さらに、クリッパーズの顔であるルー・ウィリアムズが控えに座る。ウィリアムズが先発級の能力を持っていることは周知の事実であり、リーグ全体でももっとも止めにくいベンチプレーヤーの1人だ。彼の絶対的1on1オフェンス能力とシュート力はセカンドユニットでは特に驚異的であり、ゲームの流れを変えることができる。
PGにはもう1人安定感のあるベテランが獲得できれば、ウィリアムズをオフェンスに専念させることが可能になり、より柔軟性と安定感を増すことができるだろう。

SGは時、ジョージの控えとして昨年FG成功率43.1%、3P成功率42.2%を記録した生粋のシューターであるランドリー・シャメットが務める。さらに、ディフェンス面に強みを持つロドニー・マグルーダーをヒートから獲得したため、相手に応じてシャメットとマクルーダーを使い分けることができる。場合によっては、ウィリアムズをSGで起用することもできる。
ジョージは肩の怪我のため12月頃の復帰になると思われるが、それまで誰を先発として起用するかは悩みどころだが、おそらく守備面でも期待できるマグルーダーの飛躍に期待したいところだ。
ジェローム・ロビンソンは昨年Gリーグで18.9点という好成績を残したが、かなり層が厚いため現時点で出場時間を豊富に与えられることはなさそうだ。

フロントコートについてもディフェンシブな面々が揃っている。
SFはレナードを中心に、ポートランド・トレイルブレイザーズからモーリス・ハークレスを獲得した。昨年は23.6分の出場で7.7点、4.5リバウンドと安定した数字を残しており、守備にも定評がある。もちろん場合によってはジョージを本来のポジションであるSFで起用することもできるし、PFで起用されるであろうパトリック・パターソンを部分的にコンバートすることもできる。

PFには泥臭いプレーを持ち味とし、機動力のあるハレルを先発に据えるだろう。ハレルは昨年16.6点、6.5リバウンドと、トバイアス・ハリスをセブンティシクサーズにトレードして以降、チームの屋台骨として潤滑油の役割も果たした。レナード、ジョージ、ウィリアムズを支えるのに適任だ。
また、サンダーから攻守で安定した活躍ができるパターソンを獲得。パターソンは数字に出にくい部分でも適切な仕事をするタイプの万能さがあるため、ハレルとともにインサイドに安定感をもたらすだろう。
3番手には昨年活躍したジャマイカル・グリーンがおり、PFも地味ながらポジション争いが苛烈だ。

Cには昨年途中にレイカーズから獲得したイビツァ・ズバッツと、ルーキーのフィオンドゥ・カベンガリを据える。
206cm、109kgのズバッツは機動力があるが、昨年の活躍が1年限りのものでないと証明する必要があるし、昨年よりも各ポジションで攻守のレベルが上がった今季は、ボールを持たない部分でのスペーシングやスクリーンなどの定性的部分での貢献が鍵になるだろう。
カベンガリは、往年の名センターであるディケンベ・ムトンボの甥としてサマーリーグでは17.0点、7.8リバウンド、1.5ブロックと活躍した。さらには現代のビッグマンらしく、3Pシュートも打つことができ、インサイドでも機動力を活かして得点できる。成長スピード次第ではローテーションに定着できるだろうが、ズバッツもカベンガリも未知数の部分があるため、他ポジションと比べると安定感という面では少し怪しい。場合によってはハレルをCに入れ、パターソンを先発PFで起用するパターンもあり得るだろう。

クリッパーズは長年、リーグのお荷物と言われ、常にレイカーズに対して陰だったチームだ。
しかし、前オーナーのドナルド・スターリングから現オーナーのスティーブ・バルマーに代わり、組織改革を続けてきた。2年前にはジェリー・ウエストをアドバイザーとして雇い、ローレンス・フランクGMの明確なチーム作りを後押しした。クリッパーズは現NBAで最もロジカルなチームの1つだ。

2年前にクリス・ポール、ブレイク・グリフィンをトレードに出した時には、また長い再建に入ると思われた。しかし、昨年クリッパーズはスター不在の中プレーオフに進み、ウォリアーズ相手に2勝するなどの快進撃をみせた。
昨年躍進したチームのコアを残しながら、今オフにカワイ・レナードとポール・ジョージという2人のリーグ屈指の2ウェイプレイヤーだ。さらに、ディフェンス面で貢献できる選手をサポート役として補強し、非常にディフェンシブなチームになったといえる。

2人のスーパースターが新たにチームメイトになる場合、心配されるのはボールとプレイエリアのシェアだ。また、スターのエゴがブツかることで空中分解した優勝候補も過去には少なくない。しかし、クリッパーズにはその心配はあまりない。
レナードもジョージも自分でフィニッッシュまで持っていける能力がありながら、ボールを持たないとリズムを掴めないプレースタイルではないし、プレーエリアも微妙に異なる。ジョージは2年に渡ってサンダーでラッセル・ウエストブルックと上手くボールをシェアできていたし、その気になればサポート要員としてレナードにボールを託すことも苦にならない性格だ。
対するレナードは、チームに対して主張するものの、プレーに関しては口ではなく背中でチームを引っ張るタイプだ。状況に応じて周りを使いこなる柔軟さも持ち合わせている。

レイカーズも今オフに大型トレードでリーグ屈指の万能ビッグマンであるアンソニー・デイビス、3&Dで的確な仕事をするダニー・グリーン、現代型センターであるでマーカス・カズンズ、その補助要員として元リーグ最高峰センターのドワイト・ハワードなど、優勝を見据えたチームを作った。もちろん、現NBA最強プレーヤーの1人であるレブロンも健在だ。
ロサンゼルスを拠点とする伝統あるレイカーズと、その陰に隠れてきたクリッパーズ。この2チームが優勝に向けて、どちらがロサンゼルスを代表するチームなのか?ロサンゼルスダービーが楽しみた。